木造建築の構造設計では小屋筋交いは重要な要素のひとつです。
市販の構造計算一貫プログラムでは考慮する項目ではないため、意識してる人は少ないかもしれません。小屋筋交い(雲筋交いとも言う)の役割を理解し、少しでも構造設計者の方の技術力向上につながればと思い、今回は小屋筋交いの重要性にスポットを当てようと思います。
少し見づらいですが、写真手前が桁行方向の小屋筋交い。写真奥側が梁間方向の小屋筋交いとなります。
建築基準法施行令 第46条3に以下のように記述があります。
「床組及び小屋ばり組には木板その他これに類するものを国土交通大臣が定める基準に従って打ち付け、小屋組には振れ止めを設けなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。」原文ママ
ただし書き以降に構造計算によって・・・と除外規定があります。
それもあって意識して構造設計をしている人が少ないと感じます。
小屋筋交いは、地震や防風時に屋根にかかるチカラを下階の耐力壁に伝える重要な役割があります。通常は壁倍率1倍程度(1.96kN/m)の仕様になります。
ゆえに小屋筋交いを有効に機能させるには出来るだけ耐力壁を配置しているライン(耐力壁線)の直上が望ましいです。
それでは下記の伏図で小屋筋交いを意識した構造設計について説明します。
こちらは小屋伏図になります。ピンクのラインが耐力壁線、赤丸が小屋束、青線が桁行方向の小屋筋交い、緑線が梁間方向の小屋筋交いを示しています。
X7通りに小屋束が配置されているのでこのままではX7通りに梁間方向の小屋筋交いが施工されます。しかし、耐力壁の配置しているライン(耐力壁線)はX8通りとなります。
X11通りの妻壁から小屋束ピッチが1820mmで一見理想的な配置に見えますが、小屋筋交いのことを考慮するとX8通りに移動に移動した方が理想的です。
そうすればX8通りに小屋筋交いを設置でき、直下の耐力壁に伝達することができます。
このように小屋筋交いの配置を意識した小屋組み計画をすることで外力の流れを明確にすることが出来ます。
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